学術ネットワーク Academic Network for Shurijo Reconstruction and Renaissance 琉球大学は、学術的な立場から首里城の再興に貢献します。

写真:河野哲舟

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No. 26 首里城関連トピックのご案内(2021年3月26日)

━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.026 ━2021.3.26━━

首里城学術ネットワーク メールマガジン

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*このメールは、首里城再興学術ネットワークのイベントに参加された方、

 沖縄県振興審議会委員等情報交換会ご案内メンバー、

 およびメール配信を希望された方などにお届けしております。

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こんにちは! 首里城再興学術ネットワークのメルマガ担当です。

 

最近、テレビから「リバウンド」や「下げ止まり」という単語が聞こえても、

ダイエットや株価ではなく、コロナの話題かな?と思うようになりました。

本当に些細なことですが、

この1年間で、常識や思考が書き換えられたことを実感する今日この頃です。

 

今年度の最終号となる今号は、

[伝える]をテーマに首里城関連トピックをお届けしたいと思います。

 

 

【1 地域の声を[伝える]首里城復興基本計画への提言書】———————————

 

首里杜地区まちづくり団体連絡協議会(以下、首里杜会議とする)が、

「50年後の首里を考える」というコンセプトで検討してきた

首里城復興基本計画への提言書の取りまとめが完了したようです。

首里杜会議の事務局をつとめた[すいまち研]WEBサイトで、

提言書全文が閲覧できますのでご案内いたします。

 

この提言書では、

首里に住む方々が感じていた[首里城観光]に対する違和感をどう解消したいのか、

次世代を担う子供たちに伝統文化を継承することや、

首里城復興基本計画に住民が参画することの重要性などが

具体的に記載されています。

 

コロナ禍にありながら、

オンライン会議ツールを活用したワークショップなどで

広く関係者の意見を集約した提言は、

その取組自体から見習うべき点が多く、敬意を払わずにはいられません。

 

なお、この提言書は、3月11日に首里杜会議メンバーから、

玉城デニー県知事、城間幹子那覇市長に手交されています。

 

■首里城復興基本計画への提言書の公開について(NPO法人 首里まちづくり研究会WEBサイト)

https://www.e-sui.com/2021/03/202103suimui/

 

■提言書手交の様子(NPO法人 首里まちづくり研究会Facebook)

https://www.facebook.com/suimachiken/posts/2571794943122336

 

■首里城再建に地域の声の反映求める 県に提言書(沖縄テレビ放送)

https://www.otv.co.jp/newstxt/index.cgi?code=00002105

 

 

【2 行事の段取りを[伝える]首里王府への出張マニュアル】———————————

 

沖縄県立博物館・美術館で開催中の

「よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技」展で、

8世紀後半に東大寺写経所で働いていた写経生の休暇願いの模造が展示されていました。

 

休暇の理由を切々と書き綴った紙片は、筆致も精緻に再現されていて、

千数百年前の手続書類なのですが、

申請した方の人となりが生々しく浮かび上がるようで、とても興味深いものでした。

 

首里王府往時の文書で、その人柄が想像できる資料はないかと、

当てもなく色々と検索したところ、

私のような一般人では読み取りができないものの、

文書そのものの面白みが共有できるのではないかと思える資料に巡り会えましたので、

謹んでご紹介いたします。

 

■八重山島地船上着公事帳并上国役人公事帳(琉球大学附属図書館 宮良殿内文庫)

http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle/20.500.12000/6179

 

この資料は、八重山島から首里へ出張する役人の手続きや

首里城での儀式の段取りが記載されているものだそうです。

私では資料の内容を読み取ることはできないのですが、

細かくビッシリと書き込まれた朱書きから、

細心の注意を払い、

滞りなく上級官庁でのイベントを終える努力した様子が想像できます。

時代は異なりますが、

勤め人として避けられない苦労に感じ入ってしまいます。

 

この資料とともに、

国の「首里城復元に向けた技術検討委員会」委員長である、

本学名誉教授 高良 倉吉 先生が記した

次の紀要論文に目を通していただくと、

出張者が首里城でどのようなイベントに臨んだのか、

具体的なイメージを伴って追体験できるように思います。

私は、イベント前のリハーサルや禁止事項のくだりから、

八重山島からの船旅を終えて本島に上陸した直後から、

細かに定められたマニュアルに従い儀式に臨んだ

八重山島の役人たちの窮屈な様子を、鮮やかに思い描くことができました。

 

■両先島役人の上国に見る首里城

(高良 倉吉/日本東洋文化論集 No.18 (2012/3)/琉球大学学術リポジトリ)

http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle/20.500.12000/24916

 

□参考:[よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技]展 作品紹介

(よみがえる正倉院宝物 公式サイト)

https://shosoin.exhibit.jp/works/

 

 画像が小さいのですが、第6章 筆墨 の紹介で取り上げられている

 [模造 続修正倉院古文書 第20巻]が奈良時代の休暇願いです。

 

 

【3 文化や技術を[伝える]正殿扁額復元について】———————————

 

3月16日、沖縄県は首里城復旧・復興推進本部の会合で、

首里城復興へと寄せられた寄附金を活用し、

正殿2階の玉座の背後に掲げられていた

3つの横長の額(扁額)を制作することが決定されたようです。

 

焼失した首里城の正殿2階に掲げられていた扁額は、

かつて中国皇帝から即位のお祝いなどとして贈られた書を木の板に写し取り、

文字の縁に彫りを入れて漆塗りの額に仕立てたものの復元品であったということです。

 

首里城公園友の会が編集した

[首里城の復元 正殿復元の考え方・根拠を中心に]には、

平成の復元時には、写真や絵図などの直接的な資料はなかったものの、

扁額にされた文字や落款などに関する資料を根拠に、

中国での現地調査などを行い、

各皇帝が書いた文字の中からいくつかのパーツを取り出し、

コンピューターで文字を合成する方法がとられたそうです。

さらに、書家が、その合成文字に各皇帝の書体の特徴を反映させ、

扁額の文字として完成させたということでした。

漆塗りの技法も、王府時代の再現を試みたと記されています。

 

これだけの学術的な調査と職人の技とが注ぎ込まれた扁額は、

平成の復元も単なるモノの復元に留まらない、

文化自体の復元への挑戦であったことを感じました。

 

扁額のことを調べていくなかで、

復元した文化に触れることは、文化そのものの重要性だけでなく、

伝統的な技術をつないでいくことの難しさと意義の理解につながるのではないかと思いました。

 

■首里城の”扁額” 寄付金活用して製作へ(沖縄テレビ放送)

https://www.otv.co.jp/newstxt/index.cgi?code=00002136

 

■焼失した3つの扁額(首里城公園WEBサイト)

http://oki-park.jp/shurijo/5176/5187

 

 在りし日の正殿の姿が紹介されています。

 

■皇帝御書扁額『中山世土』の制作

(一般財団法人沖縄美ら島財団 広報誌「南ぬ風」Vol.10 冬号 2009年1~3月)

https://churashima.okinawa/userfiles/files/topics/kouhoushi/vol010.pdf

 

 12頁の[首里城に関する調査研究・普及啓発事業]を紹介する記事で、

 [中山世土]の由来や制作の様子が詳しく記載されています。

 

□寄付金の使い道(沖縄県公式首里城復興サイト)

https://www.shurijo-fukkou.jp/donation/houshin/

 

 沖縄県首里城復興基金の活用に関する方針や、

 正殿の写真を使った活用イメージが掲載されています。

 

 

【4 令和3年度のネットワークの活動について】———————————

 

①学内研究プロジェクトを公募します!

 募集時期や内容の詳細はお伝え出来ないのですが、

 次年度も首里城に関する学術研究プロジェクトを支援する予定です。

 

□参考:令和2年度 首里城再興研究プロジェクト公募関連

(琉球大学 総合企画戦略部 研究推進課のHP)

https://gspd.skr.u-ryukyu.ac.jp/gakusaibu/kenkyu/?page_id=25706

 

□参考:令和2年度 首里城再興研究プロジェクトの紹介(ネットワークWEBサイト)

https://res.skr.u-ryukyu.ac.jp/shurijo_project.html

 

②文部科学省エントランスでの特別企画展に出展します!(10月から11月中旬予定)

 

 文部科学省では、省内の広報スペースを活用して、

 全国の大学・研究機関等が特色ある取組や成果を

 展示物として紹介する広報事業を行っています。

 私どもネットワークも、令和3年度の広報事業として、

 多くの皆さまに活動を知っていただくことを目的に参戦することといたしました!

 

 展示のコンセプトや展示物については、

 これから詳細な検討や調整を進めるのですが、

 学術ネットワークという緩やかながらも、

 組織を超えて重なる想いを束ね、

 地域の課題に寄り添う取組をアピールできればと考えています。

 

□参考1 新潟大学のエントランス展示の様子(新潟大学HP)

https://www.niigata-u.ac.jp/news/2018/49285/

 

□参考2 岡山大学のエントランス展示の様子(岡山大学WEBサイト)

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9119.html

 

 

年度末、イベントも仕事も盛りだくさんな方も多いかと思いますが、

皆さまの気分転換のお役に立ったトピックはございましたでしょうか。

 

旅立ちの季節でもある3月は別れの季節でもあり、

私も、お言葉だけでなくその立ち居振る舞いで

仕事に対する向き合い方を伝えてくださった先輩方を見送ります。

先輩方のように、

辛い状況でも決して視線を下げず、常に前を向く姿勢や、

ハードな交渉に当たっている状況でも、

フロアの重い空気を一掃する茶目っ気が出せる器の大きさを、

少しでも自分のものとし、そして後輩に伝えていければと思います。

 

最後に、勧誘のような締めとなり、気恥ずかしいのですが、

4月以降利用できなくなるメールアドレスで、

このメルマガをお読みくださっている皆さま、

もしよろしければ、次のフォームからメルマガ配信希望していただけると、

メルマガ担当の私がものすごく喜びます。

 

■メルマガ配信希望フォーム

https://forms.office.com/r/LDFcqTnhf8

 

では、次号は新年度第1号、

気持ちも新たに[箸休め]な首里城関連トピックをお届けして参りますので、

引き続きよろしくお願いします!

 

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