沖縄の海 〜これからの10年〜
With Ocean, Okinawa's Next Decade
琉球大学研究推進機構は、沖縄において海洋調査・研究を実施している
研究機関のネットワーク運営に参加しています。
おきなわマリンサイエンス トップ > 第5回 ワークショップ
第5回 おきなわマリンサイエンスワークショップをオンラインで開催しました。
今回の特徴のひとつは、第1部の基調講演はYouTubeのオンデマンド配信で、第2部のパネルディスカッションはZoomの会議形式としたことです。
また、本ネットワークが次のステージへと進むために、今までの研究やプロジェクト発表ではなく、コロナ禍によるオンライン開催を好機と捉えて、「海洋科学の世界的動向」や「これからの沖縄県の海洋政策」の視点から考えてみることにしました。
テーマは「沖縄の海 〜これからの10年〜 With Ocean, Okinawa's Next Decade」です。
日時:
【第1部】2020年12月10日(木)~ 12月17日(木)YouTube配信
【第2部】2020年12月17日(木)10:30~12:00 Zoom配信
進行:昆 健志(琉球大学研究企画室上席URA)
【第1部】基調講演(YouTube配信 12/10~12/17)
SDGsの目標年である2030年に向けた国際的な海洋研究プログラムの状況や、2022年からスタートする新たな沖縄振興計画の策定に向けた海洋政策・科学技術振興の方向性について、ユネスコ政府間海洋科学委員会 EPG委員を務める植松氏と新沖縄発展戦略有識者チームを務める上妻氏より、講演をいただきました。
「国連海洋科学の10年」への沖縄からの貢献
植松 光夫 氏
埼玉県環境科学国際センター総長、東京大学名誉教授
ユネスコ政府間海洋科学委員会 EPG委員
演者紹介:1980年より米国ロードアイランド大学海洋学大学院研究員、大気と海洋間の物質循環研究に目覚める。北海道東海大学、東京大学大気海洋研究所国際連携研究センター長などを経て2019年4月より現職。日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会委員長や日本海洋学会会長などを務めた。第9回海洋立国推進功労者表彰(内閣総理大臣賞)を始め、国内外多数の学術賞を受賞。
【講演概要】
「国連海洋科学の10年」が2021年1月から実施されます。この実施計画で何が求められているのか、日本はどのように取り組めばいいのか。私達が望む未来の海洋を創り出す、一生に一度しか経験できないような10年を迎えることから、本講演でその内容について紹介していただきました。
このような取組は、研究者のみならず、地方自治体も含めた政策決定者、企業、NPO、市民が「グローバルに考え、ローカルで行動する」として、できることに取組んでいく必要があります。植松氏からは、本ネットワークに対して、沖縄を通して多くの人々がさらに海に魅了されるような活動に期待するとのメッセージがありました。
「新沖縄発展戦略」と「海洋都市OKINAWA」
上妻 毅 氏
一般社団法人ニュー・パブリック・ワークス代表理事
新沖縄発展戦略有識者チーム
演者紹介:1963年東京都生まれ。学習院大学法学部卒業。財団法人都市経済研究所(国土交通省所管)常務理事等を経て、2012年、一般社団法人ニュー・パブリック・ワークス設立。沖縄振興、離島政策等を中心に各種プロジェクトや自治体支援業務に取り組む。現在、沖縄県振興審議会専門委員(離島過疎地域振興部会副部会長)、竹富町総合政策アドバイザー等を務める。
【講演概要】
沖縄県は「沖縄21世紀ビジョン基本計画」が2021年度で終了することから、次の振興計画の方向性と戦略を示す提言書として「新沖縄発展戦略:新たな振興計画に向けた提言」を策定しました。本講演では、インタビュー形式にて、その内容についての紹介をしていただきました。
「提言」では、21の重要施策のひとつとして「海洋政策・ブルーエコノミー」が提起され、7項目の具体的提言が掲げられていて、そのうちの「海洋都市構想の推進」、「海洋管理と離島地域の活性化に寄与する新たな拠点の整備」など、提言の内容の解説がありました。また、上妻氏からは、持続可能な海洋の利用と沖縄を拠点とする本マリンサイエンスネットワークへの期待を寄せていただきました。
【第2部】3機関からの発表とパネルディスカッション(Zoom配信 12/17)
琉球大学、沖縄科学技術大学院大学(OIST)および沖縄県水産海洋技術センターから各々の取組と展望の紹介があり、その後に参加者による意見交換をしました。
「ORCHIDS 小話〜琉球大学における海洋研究の一例に代えて〜」
池田 譲(琉球大学理学部教授)
【講演概要】
高度統合型熱帯海洋科学技術イノベーション創出研究拠点形成事業(略称; ORCHIDS)は平成28年度より開始した琉球大学のプロジェクトで、理学部教員が主なメンバーとして携わっています。本プロジェクトは研究、教育、社会・国際連携という3つの主題をもち、活動を進めています。
本講演では、それらの取り組みを紹介するとともに、今後の可能性についても触れられました。
「OISTのマリンサイエンスの展望」
ティモシー・ラバシ(沖縄科学技術大学院大学 海洋気候変動ユニット教授)
中野義勝(沖縄科学技術大学院大学, 沖縄マリンサイエンスサポートセクション, リサーチサポートリーダー)
【講演概要】
海洋科学分野では既存の7ユニットから5ユニットが新増設され、分子生物学・生態学・生理学・微生物学・物理学・工学の分野横断型研究体制が充実し、マリンステーションでは新たなトンネル型海水取水設備による海水の安定供給が実現し体制の強化が進んでいます。新たな飼育実験装置の導入も進められており、本格的なフィールド研究活動のグローバルな視点から地域性を反映した他機関との共同研究が構築され、地域社会との成果の共有化も重視されています。
本講演では、このフィールドステーションの紹介をするとともに、本施設を利用した研究などの紹介がありました。
「沖縄県水産海洋技術センターの組織概要と漁業調査船「図南丸」を活用した、
海洋調査等の実績と将来展望について」
平安名 盛正(沖縄県水産海洋技術センター所長)
【講演概要】
近年の国際的な水産物の需要の高まりを受け、水産資源の過剰利用やIUU漁業(違法、無報告、無規制漁業)の悪影響により、水産資源の悪化が懸念されています。 水産資源を持続的に利用していくには、資源の保全・回復を図るための資源管理の取組が不可欠であり、あわせて、未利用資源の開発など、資源管理と並行しながら漁業経営を継続できるための新たな措置が求められています。
水産業は、県民への食糧供給という責務を担った重要な第一次産業であり、その維持発展に資するため、これまで沖縄県水産海洋技術センターでは、長年にわたり漁業調査船「図南丸」を活用し、漁獲調査や海洋観測などを実施してきました。
本講演では、これまでの調査研究の実績や現在取り組んでいる代船建造計画に触れながら、水産海洋技術センターの今後の取り組みも紹介されました。
パネルディスカッション 「沖縄の海、これからの10年」
ファシリテーター:木暮 一啓(琉球大学 企画・研究担当理事・副学長)
写真.パネルディスカッションのオンライン配信風景
基調講演における「国連海洋科学の10年」や「海洋都市OKINAWA」の提言を踏まえ、それらを様々な研究および具体的な政策と結びつけ、またその継続のための人材育成、情報発信など、これからの10年に向けた研究ネットワークとしての具体的な活動について、参加者で議論が交わされました。
沖縄科学技術大学院大学のマリンステーションの今後の展開や、水産海洋技術センターの次期調査船についても、参加者より関心が寄せられました。
沖縄は海に囲まれ、その保全と利用は極めて重要なテーマであると考えられます。沖縄の海の魅力と重要性の維持は、沖縄県の研究者がリードし、その母体となる研究ネットワークはこれらの課題に挑戦していきたいと考えています。
琉球大学は、他の研究機関と連携しながら、今後も「おきなわマリンサイエンスネットワーク」の活動を継続・発展させることによって、沖縄県、日本、そして世界にとって大切な海洋について、多くのステークホルダーとともに様々な課題の解決に貢献していく計画です。
(詳細は準備中です)
第1回 2016年12月16日 会場:OIST
OIST提供
記念すべき第1回。マリン サイエンス ステーション見学会も実施。
参加者:81名
第2回 2017年10月27日 会場:琉球大学
申し合わせに基づいて、主にネットワーキングを目的として開催。
参加者:56名
第3回 2018年11月19日 会場:沖縄県庁
持ち回り最後は沖縄県庁。はじめてポスターセッションを実施。
参加者:80名
第4回 2019年12月6日 会場:OIST
OIST提供
過去最多の参加者となり、懇親会でもポスター前で議論のつづき。
参加者:131名
第7回 2022年11月25日 会場:琉球大学
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