学術ネットワーク Academic Network for Shurijo Reconstruction and Renaissance 琉球大学は、学術的な立場から首里城の再興に貢献します。

写真:河野哲舟

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首里城復元の背景と現況のまとめ

このページは、首里城の復元に関連した背景や現在の状況を整理してまとめたものです。今後の首里城について思いを巡らすときに、何かのお役に立てれば幸いです。なお、状況の変化に応じて、随時、加筆・修正をおこなう予定です。

令和2年1月 松本琢也 氏 撮影

首里城の復元

首里城は時代によって施設構成や様式が異なっていますが、焼失前の首里城(平成の復元)は1768年に行われた正殿の大修理の際の資料に基づき、可能な限り忠実に再現されています。詳細が不明な建物については、外観のみ復元する等、全体としての構成を確保しています。

 

首里城公園の整備

首里城公園は、首里城周辺のまちなみの整備も含めて、沖縄県が昭和59年(1984年)に策定した「首里城公園基本計画」にある「首里杜(すいむい)構想」に沿って進められています。また首里城公園は、都市公園法の公園として国(内閣府沖縄総合事務局)が整備した国営区域と(正殿などの有料区域)と、沖縄県(土木建築部)が整備した県営区域から構成されていて、このほかにも那覇市によって整備された守礼門等があります。

 

公園の管理体制

国営区域は本部町の海洋博公園とあわせて「国営沖縄記念公園」として国が管理しています。ただし、平成31年(2019年)より海洋博公園の美ら海水族館及び首里城公園の正殿などの有料区域の管理が沖縄県に移管されています(施設の所有は引き続き国)。

国営区域(正確には県に移管された部分以外)は国と財団が、県営区域は県と財団が契約しています。

 

沖縄美ら島財団

海洋博公園及び首里城公園の日常の管理運営は沖縄美ら島財団がおこなっています。沖縄美ら島財団は、もともと海洋博公園を管理するために海洋博公園開園にあわせて作られた公益法人で「海洋博覧会記念公園管理財団」と称していました(昭和51年=1976年発足)。その後、首里城公園が復帰20周年事業として国によって「国営沖縄記念公園」の首里城地区として整備されることになったことに伴い、首里城公園の管理も担っています(平成4年=1992年より)。

平成20年(2008年)には、高度な公園管理を行うため総合研究センターを設置し、動・植物・琉球文化に関する研究を行っているほか、成果の普及も実施しています。首里城に関しては、国内外に散逸した首里城関係の文化遺産を収集し、復元する取組として、「首里城基金」の運営をおこなっています。

平成24年(2012年)には、公益法人改革により「海洋博覧会記念公園管理財団」は「一般財団法人沖縄美ら島財団」となりました。現在では「国営沖縄記念公園」以外の施設(県立博物館・美術館、名護青少年の家、等)の指定管理や、関連会社による事業も展開しています。

国営公園の管理制度:国営公園の管理運営業務については、沖縄以外の公園については「公園財団」が担っていましたが、民間事業者の参入も可能となっており、制度的には「海洋博公園」「首里城公園」についても民間企業が指定管理者となることも可能となっています。

 

復興・復元に関わる委員会

首里城の復興にあたっては、施設の所有者・管理者、展示物の所有者等、関係機関が多岐にわたっており、復興・復元に関わる主な委員会等は下記の3つがあげられます。

 

(1)政府

令和元年11月に「首里城復元に向けた基本的な方針」を発表し、「首里城復元に向けた技術検討委員会」を実施しています。また、防災、木材・瓦類、彩色・彫刻、北殿・南殿等の4つのWGが設置されています。

委員会開催日(令和元年度):第1回 R1 12/27第2回 R2 2/19第3回 3/13

      (令和2年度) :第1回 R2 5/21第2回  9/25第3回 11/26

WG開催日(防災):第1回 R2 2/7第2回 2/26令和2年度 第1回 R3 1/26第2回 2/26

           令和3年度 第1回 6/24第2回 9/15

WG開催日(木材・瓦類):第1回 R2 2/7第2回 3/3令和2年度 第1回 12/25第2回 R3 3/3

              令和3年度 第1回 5/25第2回 6/30第3回 10/5

WG開催日(彩色・彫刻):第1回 R2 2/5第2回 3/3令和2年度 第1回 12/21第2回 R3 3/10

              令和3年度 第1回 6/9第2回 7/7第3回 9/30

WG開催日(北殿・南殿等):令和3年度 第1回 6/2

(各回をクリックすると沖縄総合事務局の資料ページに移動します)

 

手交式(報告書提出):R2 3/17。「首里城正殿等の復元の工程表策定に向けた技術的検討に関する報告」

 → 報告書

 

策定された工程表 首里城正殿等の復元に向けた工程表(首里城復元のための関係閣僚会議)

 

 

(2)沖縄県

令和元年12月に「首里城復興の基本的な考え方」を発表し、「首里城復興基本方針に関する有識者懇談会」をスタートさせ、令和2年9月からは基本計画策定に向けて「首里城復興基本計画に関する有識者懇談会」を開催しています。後者の懇談会には、新・首里杜構想検討部会と琉球文化継承・振興検討部会が設置されています。現在までの復興の概要は沖縄県特命推進課作成の首里城復興レポート Vols. 1–5に記されています。

首里城復興基本方針に関する有識者懇談会 開催日:第1回 R2 1/28、第2回 2/13、第3回 3/12、第4回 3/24。

首里城復興基本計画に関する有識者懇談会 開催日:第1回 R2 9/14(部会との合同)、第2回 11/27、第3回 R3 2/8。

新・首里杜構想検討部会 開催日:第1回 R2 9/14(合同)、第2回 10/28、第3回 12/23。

琉球文化継承・振興検討部会 開催日:第1回 R2 9/14(合同)、第2回 10/23、第3回 12/21。

(資料は上記の懇談会をクリックした移動先のページにあります)

 

公表された報告書 「首里城復興基本方針」に関する有識者懇談会における検討結果報告

策定された基本方針 首里城復興基本方針(令和2年4月)

策定された基本計画 首里城復興基本計画(令和3年3月)

 

また、「首里城火災に係る再発防止検討委員会」も実施しています。

 

首里城火災に関する警察や消防の調査結果を踏まえ、首里城火災に関する事実関係を整理するとともに、首里城正殿等が全焼等に至った要因を整理・分析し、首里城火災の再発防止策として、首里城正殿等の防火対策に関連する県営公園区域の防火対策や県管理区域の管理体制のあり方を検討するため、「首里城火災に係る再発防止検討委員会」を設置しました。

(沖縄県庁HPより転載)

委員会開催日:第1回 3/18、第2回 4/6、第3回 8/21、第4回 11/25、第5回 R3 1/19、第6回 3/17。

 

公表された報告書 首里城火災に関する再発防止等報告書(令和3年3月30日)

 

(3)沖縄美ら島財団

美術工芸品の修復の進め方などの検討を行う有識者会議「首里城美術工芸品等管理委員会」を実施し検討を進めました。

会議開催日:第1回 R1 12/10、第2回 R2 3/3、第3回 R2 11/25、第4回 3/11。

 

公表された報告書 首里城美術工芸品等管理委員会(概要版)(令和3年3月26日)

 

 

首里城再興 学術ネットワーク 琉球大学 首里城ネットワーク担当 お問い合わせ先(メール)shuri_net@acs.u-ryukyu.ac.jp