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━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.031 ━2021.6.11━━
首里城学術ネットワーク メールマガジン
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*このメールは、首里城再興学術ネットワークのイベントに参加された方、
沖縄県振興審議会委員等情報交換会ご案内メンバー、
およびメール配信を希望された方などにお届けしております。
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こんにちは! 首里城再興学術ネットワークのメルマガ担当です。
今号は、国の技術検討委員会に設置された2つのワーキンググループ
[木材・瓦類ワーキンググループ会議]
[北殿・南殿等ワーキンググループ会議]
での検討内容や、関連する情報を中心にご案内していきます。
溢れんばかりにお伝えしたいことがあるので、
さっそくトピックをご紹介していきたいと思います!
【1 第1回 木材・瓦類ワーキンググループ会議が開催されました】———————————
■第1回木材・瓦類ワーキンググループ会議(令和3年5月25日開催/沖縄総合事務局WEBサイト)
http://www.ogb.go.jp/kaiken/matidukuri/syurijou_hukugen_iinkai/R03_1st_mokuzai_kawara_WG
[正殿の梁に県産のオキナワウラジロガシを使用することを決めた]
との報道が記憶に新しい、
[第1回木材・瓦類ワーキンググループ会議]のWG資料が
沖縄総合事務局WEBサイトで公開されていますのでご紹介します。
次にご紹介するWGの資料を拝見すると、
県産木材の使用という結論に至るまでに、
とても慎重な検討や議論、
候補となる木の選定を行ってきたことが窺えます。
□WG配布資料[資料2:構造材(小径材)、造作材、木彫刻材について]
□WG配布資料[参考資料:オキナワウラジロガシの候補木の選定・環境対策等について]
この資料の一番最後に、
「オキナワウラジロガシは琉球王朝時代に、
杣山制度等で後世の首里城復元用の御用材等として植栽・管理」
されていたとの記述があります。
続くトピック2では、この点を取り上げます!
ちなみに↑の参考資料は、沖縄県も独自のページを設けて公表しています。
□県産木材(オキナワウラジロガシ)の候補木の選定方法、環境対策等について
(沖縄県公式首里城復興サイト)
https://www.shurijo-fukkou.jp/topics/1622008321/
このように丁寧な経緯の説明や、
わかりやすい形で情報公表を行う様子を拝見して、
「首里城復興基本計画(素案)」で寄せられた意見に対して、
委員の皆さまだけでなく、会議を運営する皆さまも含め、
真摯に向き合われていることを感じました。
□「首里城復興基本計画(素案)」ご意見に対する沖縄県の対応(沖縄県公式HP)
https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/tokumei/documents/ikentaiou.pdf
リンク先資料の3頁には、素案に対する意見として、
オキナワウラジロガシの使用の撤回を求めるものがあります。
【2 次の首里城を見据えた森林造成の今昔】———————————
首里城改修などのための木材調達について、
資料を色々と読み込んでいくと、
琉球王朝時代の方々も、造船や建築資材として木材需要が増加するなか、
必要な資材の確保にご苦労された様子であることを知りました。
そこで、当時の林政に関する資料をご紹介しつつ、
その貴重な知恵や志を大事にする取組についても共有したいと思います。
まずは、琉球王朝時代の造林に関する情報をご紹介します。
琉大名誉教授 仲間 勇栄 先生などの次の2つの紀要論文では、
私のような専門外の者でも理解ができる文章と図解で、
蔡温が三司官(行政の最高責任者)を務めていた
1700年代中頃に行われた琉球王朝時代の林業政策や、
森林造成の基礎となる立地の判定などが解説されています。
□琉球王朝時代の首里城改修に備えた木材の確保や森林造成
①『林政八書』中の「杣山法式仕次」 : その和訳・英訳と内容分析
(仲間, 勇栄、Purves, John Michael、Chen, Bixia/琉球大学農学部学術報告No.61/琉球大学学術リポジトリ)
http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle/20.500.12000/31654
私は、第2項を「首里城の建築をウラジロガシではなくイヌマキを使用することができたら、
建物の長寿命化が図られ、国の出費も国民の負担も減ることでしょう。
だから皆でイヌマキの育成に取り組もう」と解釈して、
目的と目的達成のための方法とが端的に示されていると感じました。
② The Secrets of Forestry: An English Translation of the Sanrin Shinpi (山林真秘) of Sai on
[蔡温の「山林真秘」の解説と和文・英文への翻訳]
(Purves, John Michael、Chen, Bixia、仲間 勇栄/琉球大学農学部学術報告No.56/琉球大学学術リポジトリ)
http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle/20.500.12000/16827
台風など沖縄特有の自然状況を踏まえた治山の実践書ともいえる「山林真秘」の解説です。
序文から耳の痛い言葉が並ぶのですが、
私は結びの「あなたが山林に心を傾けて、樹木を茂らせることを、私は念願する」と訳された部分が、
これからも伝え残さねばならない言葉だと感じました。
③「山林真秘」筆写本画像データ
(琉球大学附属図書館[琉球・沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブ])
http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12000/6212/1/miyara49-1.pdf
続きまして、
このような琉球王朝時代の森林資源に対する考え方や向き合い方を、
今の時代に引き継ぐ取組だと思う活動をご紹介します。
□未来の大改修のために~
世界遺産・首里城に欠かせない「イヌマキの木」を育てる人々のストーリー
(ニッポン放送 NEWS ONLINE)
https://news.1242.com/article/159893
首里城公園友の会の「イヌマキ育樹祭」の様子や
取組にかける想いが丁寧にまとめられています。
【3 第1回北殿・南殿等ワーキンググループ会議も開催されました】———————————
■第1回北殿・南殿等ワーキンググループ会議(令和3年6月2日開催/沖縄総合事務局WEBサイト)
http://www.ogb.go.jp/kaiken/matidukuri/syurijou_hukugen_iinkai/R03_1st_north_south_WG
現在、正殿復元の施工ヤードとして使用されている南殿・北殿の跡地ですが、
正殿以外の焼失した建物の再建について検討を行うWGが新設され、その初めての会合が開かれました。
公開されているWG資料を拝見すると、
今回の会合では、前回の復元方針や機能・用途の振り返りが行われ、
今回の復元で解決すべき防火・防災対策などの課題が確認されたようです。
□WG配布資料[資料2:前回復元時の概要]
ボリュームのある資料ですが、どのような方針で正殿以外の建物が再建され、
どのように活用されてきたのか、
新たな施設の供用開始に伴い、その機能や動線をどう見直したのかがまとめられています。
□WG配布資料[資料4:今後の北殿・南殿等WGの進め方について]
このWGが検討する事項や、
県に設置される委員会や沖縄美ら島財団が設置した委員会との連携、
復元までの工程表が確認できます。
□首里城 北殿と南殿の再建 令和8年度着工目指す(NHK NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20210603/5090014328.html
□首里城 南殿・北殿ワーキンググループ会議(沖縄テレビ)
https://www.otv.co.jp/newstxt/index.cgi?code=00002729
「一つ一つの建物に物語がある」という、
本WGの委員長を務める本学名誉教授 高良 倉吉 先生のお言葉に、
観光施設ではなく、王朝時代の政や祭祀の場としての首里城について、
あまりにも知っていることが少ないことを反省しました。
今回のメルマガは、
新メンバーがせっかく書き上げた記事の掲載を次回に繰り延べ、
私の伝えたいことを思う存分に盛り込んでみました。
第28号で[ボリュームとテンションを抑える]と誓ったのですが、
どうも上手く切り上げることができません。
そのような反省もあるものの、
色々な観点を含めた今号、
何かしらお心にとめていただけるものがあれば、嬉しく思います。
緊急事態宣言の対象地域である沖縄県においては、
6月20日までの期間、感染リスクを回避する行動の徹底が求められています。
医療体制がひっ迫し、対応ができない状況が生ずれば、
患者を本土へ移送するか、
他の地域から医療チームを招へいするかという選択に迫られることが想定されます。
コミュニケーションの手段が制限され、息詰まるように感じることもありますが、
自分だけでなく、自らの大事な人たちの命を守るための基本的な行動を忘れずに、
日々を丁寧に過ごして、
次号も明るく元気に、首里城関連トピックをお伝えしてまいりますので、
引き続きお付き合いください。
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