琉球大学 研究推進機構 戦略的研究プロジェクトセンター
とんがり研究:健康・長寿(〜平成29年度)

大屋祐輔 教授 おおや ゆうすけ

大学院医学研究科

循環器・腎臓・神経内科学講座(第三内科)

長寿復活へ向けて: "ゆいまーる" を活かした地域の健康増進

 沖縄県は長い間「長寿の島」として知られてきましたが、平成14年に男性の平均寿命が4位から26位に急落した「26ショック」以降、その地位が危うくなってきています。私が所属する第三内科は、循環器、腎臓・高血圧、神経・脳卒中を担当する診療科ですが、沖縄県民の健康の状況を知り、その対策を立てる研究にも取り組んでいます。

 現在の沖縄の食環境は、米国統治下でもたらされた「アメリカ化(高脂肪、高カロリー)」と、本土復帰後に外食産業を通じてもたらされた「高塩分摂取」という、アメリカと本土の“悪いところ取り”の状況にあり、地域社会の機能低下もあって長寿の復活は容易なことではありません。医学的・科学的な知見の集積、地域社会での取り組み、学校教育を組み合わせた「ゆい健康プロジェクト」を、人文系、教育系の先生方と共同で立ち上げ、地域の健康行動の向上と生活習慣の改善による沖縄県の健康長寿の促進に努めています。

これまでの研究

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 地域の健康増進には、ただ「痩せなさい」と指導するだけでは限界があることを実感しています。生活習慣の改善には行動経済学やマーケティング手法なども取り入れ、伝統的な食習慣の復活や地域食材の活用を“かっこよく”進めたいと考えています。

 健康長寿を復活させるためには、地域社会の構造や習慣を理解し、また他の地域社会の食文化を理解することも必要だと考えています。ハワイや南米には沖縄からの移民が築いたコミュニティがあり、これらの地域社会との比較からも沖縄の長寿を復活させるヒントが得られるかも知れません。

このプロジェクトで目指すこと

概要図:沖縄の伝統野菜を活用した食習慣への介入試験。緑黄色野菜や鰹節・昆布の多用など、独自の組み合わせが沖縄の特徴。

主な論文

Katsumata Y, Todoriki H, Higashiuesato Y, Yasura S, Wilcox DC, Ohya Y, Wilcox BJ, Dodge DC (2012) Metabolic syndrome and cognitive decline among the oldest old in Okinawa: in search of a mechanism.  The KOCOA Project.  Journals of Gerontology Series A – Biological and Medical Science, 67: 126–134.

Mano R, Ishida A, Ohya Y, Todoriki H, Takishita S (2009) Dietary intervention with Okinawan vegetables increased circulating endotherial progenitor cells in healthy young women.  Atherosclerosis, 204: 544–548.

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