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とんがり研究:地域整備(地域課題解決型)

中村真也 教授 なかむら しんや

農学部 地域農業工学科

農村環境保全・防災学分野

しなやかで強い地域づくりに向けて: 環境条件を勘案した土地の整備と管理

 琉球大学大学院に入って地すべりの研究を本格的に始め、地すべり土の強さに関する研究で博士号を取得しました。地すべり土の強さと鉱物学的性質の関係、斜面安定化対策に地質的条件や土の強さを取り入れる手法の検討、亜熱帯沖縄の地すべりの形状的特徴や地形発達史との関係の把握等に関する研究を行ってきました。

 今年は熊本地震の被害やその後の降雨に伴う土砂災害が注目を集めていますが、土砂災害や洪水被害のニュースは世界各地から毎年飛び込んできます。災害への備えだけでなく、地域に生じる種々の課題の検討・解決に当たっては、その土地の環境条件を勘案してより適切な対応を考える必要があります。

 近年、地すべり研究に加え、先輩研究者の協力を得ながら、土地保全をベースにしつつより健全な流域整備・管理を検討する研究や農村・農地における物質の移動・収支に関する研究に取り組み始めています。

 

 

このプロジェクトで目指すこと

 近年は土壌侵食・地すべりの様相が変わり、それが農林業の生産性を低下させたり、激甚化する自然災害により地域インフラが破壊され生活環境が悪化することが世界的な問題となっています。環境条件を勘案した土地の整備と管理手法を検討し人々の生活環境と生産環境を健全な状態にすることで、生産性維持、災害の軽減、被災からの早期復旧が可能になり、気候・環境の変化に対して順応性の高い地域をつくることにつながると考えます。

 このプロジェクトでは、地域の環境条件に応じた適切な土地整備について多角的に思考し、順応性の高い社会モデル構築への展開を見据えて、亜熱帯島嶼の沖縄を主フィールドとした基礎的取組を実施したいと考えています。

調査の様子:熊本地震で発生した地すべり災害の現地調査。発生のメカニズムを解明するため、現地では地すべりにより崩れた土や斜面に残った土の解析を行っている。平成28年9月撮影。

主な論文

中村真也(2016)すべり面研究の最近の動向。日本地すべり学会誌(印刷中)

中村真也、佐々木慶三、木村匠、宜保清一(2012)亜熱帯湿潤地形の発達と地すべり-沖縄島、島尻層群地域-。日本地すべり学会誌、49(5):237–250.

Nakamura S, Gibo S, Egashira K, Kimura S (2010) Platy layer silicate minerals for controlling residual strength in landslide soils of different origins and geology.Geology, 38(8):743–746.

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